7月6日、7日に Triathlon Lumina 主催のチャレンジ企画、アイアンマンジャパンみなみ北海道に向けた夏合宿が行われた。
舞台は9月15日のレース本番と同じ北海道北斗市と木古内町。大会に出場する約15人が参加したほか、レース関係者、函館トライアスロンクラブ、道南サイクルツーリズム推進協議会のメンバーなどがサポート。
大会スーパーバイザーの宮塚英也さん指導のもと、スイムやランコースでの実践練習やレース攻略に向けた講義などを交えた充実の合宿となった。
その内容を、宮塚スーパーバイザーのコース攻略アドバイスを中心に DAY1、DAY2 の2回に分けてリポートしよう。
【 DAY1】
合宿初日のメニューはスイムとバイク。A班とB班のふたつのチームに別れてレースを想定したスイム練習(北斗市上磯)、そしてバイクはメインコースとなる函館・江差自動車道を車両で視察するメニューがそれぞれ組まれ、その後、フィニッシュ地点がある木古内町まで国道228線をバイクで南下した(約30km)。
【視察したバイクコース】
《宮塚さんのアドバイス》
バイクコースのトピックは何と言っても函館・江差自動車道がメインとなる点です。
スイムアップしてトランジションを済ませた選手たちは、まず北斗市の海岸線を通る国道228号線を南下。そしてスタートしてから3km弱にある北斗富川インターチェンジ(マップ上/ポイントA)に入るため右折し、本線へ合流する坂道を上り切るといよいよ自動車専用道路がレースの舞台となります。
コースのメインはこの高規格道路を約3往復。
函館・江差自動車道の終点となる木古内IC(ポイントC)から228号線へ下りたあとは、約2kmでバイクフィニッシュとなる ふるさとの森公園 に到着します。つまり、バイクコースの97%が自動車専用道路となるわけで、この区間の攻略が大きなポイントとなります。
コースの標高差自体はそれなりにありますが、アップダウン区間は自動車専用道路特有ともいえる、なだらかに上って、なだらかに下るレイアウト。
コーナーがあってもゆるやかなので、自転車だと感覚的にはほぼ直線路のはず。ですから本線を走っているときにブレーキを使うことはほとんどないでしょう。
合宿初日のトレーニング終了後は宮塚さんのコース攻略アドバイスが催された
バイクコースの標高差は90m強。また、マップ上での みなみ北海道大会 の獲得標高は1,450mです。
この数値だけを見ると、案外大きいなと思う人はいるかも知れませんが、こういったコースレイアウトの大会の場合、私はそれほど上りがキツイと感じたことはありませんでした。
それは直線のアップダウンのレイアウトを上手く利用してして走っていたからです。
ポイントはスムースなギアチェンジ
みなみ北海道大会 のようなハイウェイ・コースがメインの場合、アップダウンが組み合わさった区間では、まず下りを有効活用することが重要になります。
つまり下り区間でバイクのスピードを乗せ、それを上りに生かすという走り方。下り切ったあとの惰性を上手く使い、スムースに上りへとパワーを伝達していくとも表現できるでしょうか。
下りから上りに切り替わったあと、できるだけスピードを殺さないよう、ギクシャクさせること無く徐々にフリー(後輪の)ギアを落として(チェンジして)いく。そうすれば、そのまま上り区間へ走りの勢いを繋いでいけますし、ペダルもより効率的に回す(出力する)ことができるでしょう。
なだらかに下る直線区間でもスムースにスピードを乗せていこう
一方で坂を上りきったあと、下りに移ったときもスムースにフリーギアを上げていき、ロス無くスピードを乗せていく。この切り替えを上手く利用するのです。
そんなスキルを駆使してレースを走った場合、私が体感するバイクコースでの獲得標高は、実データの3分の2くらいでした。
そのためにも、普段のバイク練習でギアチェンジをシミュレーションできるアップダウンコースを取り入れ、ペダリングやパワーの伝達テクニックを磨くようにしましょう。
【 スイム練習 】
スイムトレーニングは大会会場と同じ北斗市上磯の漁港付近で実施。
この日は通常よりも強い風が吹き、白波が立つコンディションの中行われた。
本番さながらのライフセーバーのサポート。サップやボードでの補助や陸上監視など万全の安全管理が敷かれる中、参加者たちはそれぞれのコンディションにあわせた設定で、実践トレーニングに取り組んだ。
《宮塚さんが見たポイント》
今回は波の立つハードなコンディション下でのスイム練習となりました。
一方で、本番の9月15日・午前6時30分からのスタートが予定されているスイム競技では、想定される水温が20〜22℃で気温17.9〜22.4℃。スタート会場自体は外海から入り組んでいるので、大きな天候の悪化がない限り比較的落ち着いたコンディション下での開幕となるでしょう。
混雑緩和の役割を果たすローリングスタート
参加者1,500人の大規模レースですが、当日は5人ずつ5秒間隔のローリングスタート方式を採用予定。
先頭を争うグループが大変なのは変わりないでしょうが、全体的な混雑解消の役割を果たし、マイペースで泳ぎたい選手にも適したフォーマットといえます。
レース当日は函館山の絶景が選手たちを出迎えてくれるだろう
今回、参加者がスイム会場やコースのレイアウトなどをインプットできたことは、何よりレース本番の準備に役立つでしょう。
この日は厳しいコースコンディションでしたが、この体験により本番に向けての不安は解消されるはず。そういった意味ではプラス材料になったのではないでしょうか。
※紹介した攻略法は宮塚英也さんの見解をまとめたものです。大会実行委員会からのアドバイスではございません
.
【合宿参加者が見た大会のポイント①】
堀内成吾さん・直子さん
今回一緒に参加した堀内夫妻。昨年、西オーストラリア大会で IRONMAN 初出場・初完走を果たしており、今年みなみ北海道大会でアイアンマン2度目の挑戦となる。
「(日本で)1回目の開催となる大会に魅力を感じました。海外のレースは事前の準備など何かと大変な部分もありますし。今回、空港でレンタカーを借りて移動したのですが、それぞれ会場までのアクセスが良くて移動しやすかったですね。空港からこんなに近いんだと。関東からだと新幹線でも行きやすいですし。
スイム会場は遠浅でしたが、今回は波があって正直大変でした。でも、これを経験できたのでレース当日は何が起きてもダイジョウブだと自信がつきましたね(笑)。ライフセーバーなど万全のサポート体制を敷いて(スイム練習を)実施していただいて感謝です。
バイクコースを視察したのですが、私にとっては道幅が少し狭く感じる区間があってそこは気になりました。ドラフティングに注意しなければならないとか。
ランコースは全体的に見ればフラットなのでしょうが、途中、何カ所か起伏があり、予想していたよりかはアップダウンがあったのかなぁと」(直子さん)
「トレーニング初日の夜に地元でビアガーデンがあって、木古内の人たちと交流がもてたのも良かったですね。大会会長や、大会当日にサポートしていただける商工会女性部の会長も参加されていて。地元のおもてなしの気持ちがすごく伝わってきました。(写真上)
バイクコースは2人ともオールフラットよりもアップダウンがあったほうが好きなので、楽しんで走れそうです。大会詳細の紹介のときシャトルバスの案内があって、そういった木目の細かさが日本の大会らしくて好感がもてました。海外のレースだとそういったサービスは聞きませんよね。
日本ならではの大会の特徴。レース自体の魅力はもちろん、ホスピタリティやサービス内容など、これまでにない『ジャパニーズ・アイアンマン』スタイルを創り上げて発展していってほしいと思いました」(成吾さん)