ーー 大会スーパーバイザーの宮塚英也さんが当日のコースを実際に視察し、参加者が押さえておくべきポイントなどを3種目それぞれで伝授する攻略法コーナー第2弾。バイクに続いてはスイム編だ。参加者目線でとらえた現場動画なども交えて紹介しよう ーー
スタート会場から眺めたコースエリア(午前に撮影)。漁港の堤防(左側)先に見えるのがスイム時のランドマークとなる函館山で、右側から延びるのは50年の歴史をもつという太平洋セメントの海上桟橋だ
9月15日のスイムスタートは午前6時30分からの予定。スタート会場自体は外海から入り組んでいるので、大きな天候の変化がない限り比較的落ち着いたコンディション下での開幕となるでしょう。
《スイムコースマップ》 ※タップして拡大できます
まずコースの特徴を紹介すると、1周1.9kmを2周回するレイアウトで、泳ぎ出しは上磯漁港の堤防を左手に眺めながら進みます。
沖へと向かうに連れ、視線の先には函館山がハッキリと確認できてテンションも上がるでしょう。
その後1つ目のターンブイで左方向に折れ、約500mを真っ直ぐ泳ぎ、その先に待つブイを折り返すように鋭角ターン。
今度は堤防を右側、そして函館山を左手に。海上桟橋を正面に見ながら3つ目のターンブイを右に曲がると、そのまま真っ直ぐスタートした地点(陸)を目指して戻る、1周回のルートとなります。
混雑緩和の役割を果たすローリングスタート
参加者1,500人の大規模レースですが、スタートはローリング方式が採用されます。
先頭を争うグループが大変なのは変わりないでしょうが、全体的な混雑解消の役割を果たし、マイペースで泳ぎたい選手にも適したフォーマットといえるでしょう。
スタート序盤は外洋から入り組んだエリアを泳ぐので、天候が荒れない限り比較的穏やかなコンディションとなるだろう
上記のマップの①地点から、コースへ泳ぎだす方向を見たイメージ写真が上になります。
また本コラムの最後で、今回紹介したコース攻略のポイントを動画で見ることもできるので、あとで参考にしてください。
序盤から第1、第2ターンブイをシミュレーションして泳ぎ出そう
さて、スイム序盤で私がポイントに挙げる点は2つあります。
まずは最初に待ち受けるターンブイ、そして鋭角に折り返す2番目のブイを回るときの泳ぎ方です。
私が選手時代、スイムコースでまずポイントにしていたのが最初に設置されたブイの位置でした。
当然のことながら、最初のターンポイントには我先にと選手が殺到するわけですが、スタートからの距離が短ければ短いほどその混雑度は高くなります。
だから私はその混雑リスクを踏まえ、スタート位置からの第1ブイの距離に応じて泳ぎ出しのペース配分を考慮していました。
今回のレースでは、最初のターンブイまでが300m。この距離ならば左に曲がるときに窮屈になることはなさそうです。
上記マップの上磯漁港の堤防(ポイント②)から見るスタート地点。中央奥に駒ヶ岳も望める(撮影時は3月)
そしてし注意してもらいたのが次の鋭角に曲がるターンポイント(下図)。
オープンウォーターでは、自分でターンした感覚よりも実際には曲がれていない、折り返せていないというケースはよくあることです。だから、このブイに差し掛かったポイントでは自分がいるポジション、そして折り返したあと向かうべき方向をシッカリと目視&位置確認することを意識しましょう。
自分の泳ぎの感覚で、「これくらい曲がれただろう」という思い込みは禁物です。
長い直線で気持ちをリセットする
そして、これら序盤を乗り切れれば一度、冷静に自分の状態をチェックしましょう。
スタート後の緊張も緩和し、さらに次の(3つ目の)ブイまでは直線路で距離もあります。ここで自分のリズム&ペースを心がけ、コンディションを確認します。
「今日の自分の調子はどうか?」「実際に泳いでみて感じるコースコンディションは厳しいのか、穏やかなのか」など、一度気持ちをリセットして自身の泳ぎのマネージメントに集中するのです。
もちろん、このあと2周目と続く残りのペース配分も考慮することはいうまでもありません。
後半スタートの選手ほどマイペースを忘れずに
スイムは2周回なので、ローリングスタート最後の組が出発したあと間もなくトップが2周目に入ってくる可能性があります。つまり1周目と2周目の選手が重なるわけですが、各々のスタート間隔がとられているので、ここでも混雑解消に一役かっていることでしょう。
またスタート時刻が後半の選手は、後ろから来る2周目の選手が気になるかもしれませんが、心配する必要はありません。
泳ぎの速い選手は、前を行く選手の後方に上手く取り付き、タイミングを見てスムースにパスしてくれるでしょうから、(後半にスタートする選手たちは)自分の泳ぐルートを乱すことなくマイペースで進みましょう。冷静さを心がければ問題ないはずです。
※この攻略法コラムは宮塚英也さんの見解をまとめたものです。大会実行委員会からのアドバイスではございません
【コース動画を活用してイメージを膨らまそう!】
下記にて、ここまでに紹介してきた3つのコースポイントをメインとした映像が見られます(撮影は3月と7月に実施)。こちらも活用し、ルートマップと重ね合わせて泳ぎをシミュレーションすれば、当日のイメージも膨らませやすくなるでしょう。
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