【シーズン連載】みなみ北海道でアイアンマン初挑戦!『レース攻略 6カ月計画』 ~ Road to South Hokkaido ~ 《 プロローグ編① 》

6カ月チャレンジ

《 みなみ北海道大会でアイアンマン初挑戦&完走を目指す6カ月チャレンジ連載がスタート》
2025年9月14日に行われる みなみ北海道大会で初めてアイアンマンに挑戦するトライアスリートたちへ向けた、宮塚英也さん指導による大会攻略法&トレーニング・プログラム連載がスタートします。
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指導/宮塚英也

フィニッシュの先に待つ最高の感動と誇り

前回、9年ぶりに日本で行われたフルディスタンスのアイアンマン。
私(宮塚)が指導しているエイジグルーパーたちも参加し、みなみ北海道の檜舞台に挑んでいます。
初めてのアイアンマン挑戦だった人も多かったのですが、やはり国内レースならではのメリット、たとえば移動やロケーションの把握のしやすさなどは、レース経験の浅い人にもプラスに働いていたといいます。

一方で、完走できたときの喜びはひとしお。これまでのトライアスロン・キャリアにおいても得難い経験ができたようです。やはり “アイアンマン” のフィニッシュラインの先には、特に初めて挑戦するトライアスリートにとって特別な景色、プレミアムな感情が待ち受けているのでしょう。

そこで今回、私は今年のアイアンマンジャパンで初アイアンマンにチャレンジするアスリートの皆さんへ、9月14日に笑顔でフィニッシュラインに到達できるよう、『みなみ北海道に向けた大会攻略法& 6カ月のトレーニングプログラム』を当コラムにて連載することになりました。

「いつかは みなみ北海道大会にチャレンジしたい!」「私にはまだちょっと(アイアンマンは)早いかなぁ」などと考えている皆さんも、今目の前にあるチャンスを活かし、憧れのアイアンマンの称号を手にしましょう。
私、宮塚が全力応援します! 準備は良いですか?

みなみ北海道にならではの対策トレーニング、攻略法なども都度紹介

北海道北斗市・上磯のスイム会場をスタートし、全体の90%以上を自動車専用道路が占めるバイクコース。そしてフラット基調なランコースや 9月の道南地域の気候など、アイアンマンジャパン特有のコンディションは、もちろん参加者にとってレース攻略に欠かせない情報につながります。

たとえば、みなみ北海道大会の昨年のスイムは2周回。つまり1周が1.9kmのコース設定となります。
ショートディスタンス(51.5km)の国内大会でも、周回レイアウトを採用するケースは多いのですが、その場合、最長でも1周750mの計算。泳ぐ周回の距離が倍以上違ってきます。
さらに、昨年の みなみ北海道大会の1周の距離設定を細かく見ると、直線で 300m + 500m + 600m + 500m の組み合わせだったのですが、初めてアイアンマンに挑戦しようというアスリートにとって、通常これだけダイナミックなレイアウトをレースで経験する機会はほとんどないといえます。
また、当日のコースコンディションが荒れるケースもありえるでしょう。(昨年は多少波が出ていました)

そこで、より重要となるのがヘッドアップスイムです。
長い直線が組み合わさり、ターンするポイントによって進む方向が変わっていくコースをできるだけロスのないルートで泳ぐために、特にオープンウォーターでのヘッドアップ技術は重点的に磨いておくべき泳法となります。

また、スイムコースはスタートして沖へ出てもしばらくは遠浅で、潮の状況にもよりますが、最初の200m前後は足が着く程度の水深を想定しておかなければなりません。

つまり、その浅瀬区間では行きも帰りもドルフィンスイムの活用法が、結果を左右する場合があります。
ただし、こちらは泳法テクニックや各選手の特性によって(ドルフィンを行うべき)適正回数も変わってきます。
私ならば可能な限り多用しますが、人によっては必要以上に息が上がるケースもあるのでその見極めも大切になってきます(その基準は今後の練習コラムで説明していきます)。それらも含めた実戦トレーニングが取り入れられれば、よりレースでの効果は上がるでしょう。

みなみ北海道・対策テクニック ✕ スペシャルトレーニング・プロフラムで 9月に笑顔をお届け!

前述のヘッドアップスイムやドルフィンスイムは、オープンウォーターで多用されるテクニックですが、実は慣れていない人が技術を習得するにはプールでトレーニングするのが効果的であったりもします。

そこで当コラムでは、そんなレースプロフィールへの対応策やテクニックを、スイムはもちろんのことバイク、ランのトレーニング動画なども交えて紹介。さらには今後展開していく『みなみ北海道完走・6か月トレーニング・プログラム』のメニューにも取り入れていくこととします。
まさに、みなみ北海道大会を攻略するための要素が詰め込まれたスペシャル連載といえるでしょう。

成功へのカギを握る 『トレーニングの組み立て法』

ところで現役選手だった頃の私は、アイアンマン世界選手権や宮古島大会などで日本人として過去最高の実績を残してきました。
そんなリザルトを刻み続けることができた一番の理由は、私がトレーニングの研究や開発、そして練習のプログラミング能力に秀でていたからだと自負しています。

2度のアイアンマン世界選手権トップ10入りや宮古島トライアスロン4勝など、宮塚さんが打ち立てた日本人記録は未だ破られていない(photo / Akihiko Harimoto)

まだ『トライアスロンのコーチング』というジャンルが確立されていない黎明期から、日本人が世界で戦い続けるためのアプローチを模索。ときには自分自身を実験台としてとらえ、トライ&エラーも繰り返しながら “トレーニングの最適解” を導き出してきました。

私が長きの間(1980年中盤〜2002年まで)トップで活躍し続けてこられた理由でもあり、これらの知見は現役引退後、私のコーチング活動の分野においても活かされています。
プロ・アマを問わず各自の目的やレベルに合わせ、最適化したトレーニングプログラムの作成や動きづくりの指導など、多くのアスリートのパフォーマンス向上に寄与してきました。そして、それらのデータは蓄積され続け、ときには新たな発見、引き出しをもたらしてくれることもあります。

そこでこの連載コラムでは今後、前述のアイアンマンジャパンの具体的な攻略ポイントやトレーニング法と併せて、これから9月14日のレース本番まで約6か月間のトレーニング・プログラム(3月24日・月曜日から開始)を紹介していきます。

多忙な社会生活の中、レース出場を目指すエイジグルーパーの皆さんこそトレーニングの計画性が重要。
「みなみ北海道でアイアンマン初挑戦&初完走」のためのプログラムを定期的に提供していくので、そちらも期待していただければと思います。

あなたが みなみ北海道大会に向けてチャレンジするスタートラインの目安

「初アイアンマンに挑戦」とひとことで表したとき、イメージするスタートライン・運動レベルはまちまちかも知れません。
ここではまず、今回のアイアンマンジャパン挑戦企画にトライする人たち、対象者が目安としてほしい、トレーニング・プログラム開始時に取り組んでもらう 4週間の練習量を下記にて紹介します。(最初の4週間分)

《第1週》 3時間30分/5日(レスト2日)
《第2週》 4時間10分/5日(レスト2日)
《第3週》 4時間10分/5日(レスト2日)
《第4週》 3時間30分/5日(レスト2日)

いずれもペース(スピード)は関係ありません。なぜなら今後、紹介していくメニュー内容(3月24日スタート)の基準はスイムを除きすべて “時間” となるからです。 

時間を基準とする概念

現役時代の私がトレーニング・プログラムを作成するとき、基本的にはスピードや距離を基準にすることはなく、メニューそれぞれを時間の合計で組み立てていました。
その理由のひとつが、もちろんのことながら練習強度の設定の指標を心拍数に置いていたからからです。
どれくらいの強度(心拍数)のトレーニングをどれほどの時間行うか? それらをどう組み合わせ、週のトータルで何時間取り組むか? そういったプログラミングの良し悪しが結果(パフォーマンス)を大きく左右します。

効率的なパフォーマンス向上を目指すのであるならば、個々の目標に応じた練習強度や頻度設定でプログラムを組む必要がある。これは常識といえます。( 『トレーニングは時間を指標にする』ことの有効性は、次回コラムにてさらに詳しく説明します)

6カ月でアイアンマンになれる練習量の基準とは?

目指せ! 週8時間のトレーニング量

そういうことで、これから皆さんに注目してほしいのが「1週間のトレーニング時間」です。
スバリ、アイアンマンを無理なくある程度の(制限時間の)余裕をもって完走できるというラインは、平均して1週間に8時間のレーニング量をこなせるレベルに仕上がっていること。
これは、私が今まで多くのエイジグルーパーたちを指導し、集約してきたデータといえます。

もちろん個々の体力差やコンディション、レース当日の気候など結果を左右する要因は多々あるでしょうが、今回はそういった流動的な要素がないとものと想定。
そんな中、私、宮塚の四半世紀に及ぶトレーニング指導経験、そして多くのアイアンマン・フィニッシャーを輩出してきた経験から弾き出した、広く一般的な数値として示せるのが『週8時間』の平均トレーニング量の到達なのです。

詳しいプログラムやメニューは今後一般公開(3月24日スタート)していきますが、先にも紹介したスタートラインとなる4週間分の下記トレーニングの時間、
 《第1週》 3時間30分/5日(レスト2日)
 《第2週》 4時間10分/5日(レスト2日)
 《第3週》 4時間10分/5日(レスト2日)
 《第4週》 3時間30分/5日(レスト2日)
 を基準とし、ここからゆっくりとステップを踏んで持久力やスキルを伸ばしていくプログラムを提供していきます。

そして、8月には多い週(毎週ではない)で8時間/週のトレーニング量をこなせているようになれば、アイアンマン完走の確率はかなり高いといえます。
このレベルへの到達を目指すため、『みなみ北海道スペシャル・トレーニングプログラム』を公開していきますのでどうぞご期待ください。

「いつかはアイアンマン」という夢は、いつか踏み出す「その一歩」から始まります。
可能性を切り開くのはあなた自身。
今秋、みなみ北海道で各々の目標を達成させましょう。
(次回コラムは 3月8日掲載予定です)

※このコラムは宮塚英也さんの見解をまとめたものです。大会実行委員会のリリースではございません

《 3月24日スタート! みなみ北海道大会でアイアンマン初挑戦&完走を目指すトレーニング・プログラムを紹介》
当連載では、2025年9月に行われる みなみ北海道大会で初めてアイアンマンに挑戦するトライアスリートたちへ向けた、宮塚英也さん作成&指導によるトレーニング・プログラムを紹介します。
スタートは3月24日から。 4週間 ✕ 6回(6クール)+ 1週間(調整)⇒ 9月14日 のスケジュールとなります。

このみなみ北海道大会スペシャルプログラムがしっかり完走へとナビゲート。ぜひあなたも挑戦しよう!

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《 You are an IRONMAN!(コンセプト動画 ↓) 》

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指導/宮塚英也(みやづか ひでや)
現役時代、宮古島トライアスロン4勝、第1回ロングディスタンス日本選手権優勝など数々の実績を挙げ15年以上トップを走り続けてきたレジェンド。特にアイアンマン世界選手権コナ(ハワイ)では計13回出場し、9回の20位以内のリザルトをマーク(うち2度のトップ10入り)。世界でも5本の指に入る金字塔を打ち立てている。
9月14日に行われるアイアンマンジャパンみなみ北海道では、昨年に続き大会スーパーバイザーとしてレースアドバイスなどに携わっている。

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